Last update 2006/02/05




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読書日記





か行



世界の中心で、愛をさけぶ By 片山恭一

 中学生の朔太郎は、同じく学級委員をしていたアキと出会った。最初はただの友達だったが、交換日記をつけるようになり、高校へ進学した頃からお互いを意識し合う仲になった。
 その頃、朔太郎は祖父から、かつて好き合った女性と訳あって結ばれなかったという話を聞かされる。そして、それでも祖父は五十年間その女性のことを思い続けており、自分が死んだら彼女の遺骨と混ぜて山にばら撒いて欲しいと、女性の遺骨を託された。朔太郎は祖父のそんな想いのことをアキに話した日、初めてキスをした。
 しかし、二人の時間は長く続かなかった。修学旅行の前あたりからアキは病室で過ごすようになっていた。白血病だった・・・。

 世間の若者たちの会話についていけないので読んでみた。今更読むにしてはちょっと先入観が強すぎたかもしれない。『ここにハンカチを置きます。さぁ、泣きながら読んで下さい』という風体の小説にはどうも反発してしまいたくなる。言葉に飾り物がぶら下がり過ぎで、いい加減ダレてくる。
 この小説がメディアによって空前のベストセラーに押し上げられたという事実は、少なからず脅威に思う。

(読了 : 2004/10/12)



硝子細工のマトリョーシカ By 黒田研二

作家にして女優の美内歌織が初めて脚本を書いた生放送のミステリ・ドラマ「マトリョーシカ」。それは、1年前に自殺した映画監督の死の謎を追う報道番組を演じる<完全なる虚構>と、その虚構を演じる俳優たちに起こった事件を演じる<不完全な虚構>の二つ世界が動じ進行するドラマである。
しかし、歌織がドラマの中で飲むはずの毒が本物にすりかえられるアクシデントが起きる。歌織の恋人である森本晋太朗は、慌ててテレビ局に駆けつけた。晋太朗は歌織の控え室で大男に襲われ、歌織の秘密をばらすという脅迫状を発見した・・・。

タイトルがちょっと安易な気がする。読んでいるとやはり外郭に気付いてしまうし、その伏線も親切に提示しすぎているように感じた。輪郭が見えれば犯人もおのずと見えてくる。謎解きとしては比較的簡単だったと思う。
ただ、私が好感を得たのは、動機に関する点である。人の心理やすれ違いをうまく描いている。トリックよりもこちらが評価されるべきである。ミステリの出来としてはかなりいい方ではないだろうか

(読了 : 2005/03/18)



闇匣 By 黒田研二

 岡部音響の社長の娘の杏奈との結婚を正式認めてもらうため、彼女の田舎を訪れた関口勉は、ホテルで何者かに襲われて昏倒する。目が覚めたときには、そこは闇の中だった。身体は椅子に縛り付けられ、聞こえてくるのは時計のアラームのメロディーと杏奈の声だけ。そんな暗闇の中に突如現れたのは、幼馴染の軽部龍一の声だった。
 龍一は、勉の元恋人の大寺枝理が今朝心不全で死んだとこを告げた上で、一年前の事故のことを切り出した。それは、勉、龍一、枝理、そして、勉の妹の薫の4人がキャンプ場に向かう途中に立ち往生し、暗闇の中で薫が水死した不幸な事故だった。しかし、あれは事故ではなく、薫は殺されたのだと龍一は断言した。龍一は小さい頃から薫に思いを寄せていた。
 そんな折りに枝理が死んだので、残る勉が死ねば、犯人はわからなくても復讐は終わると彼は告げた・・・。

 著者の感性には感服する。これはなかなか出来のよい作品だと思った。トリック云々もそれ相応に面白かったけれど、それ以上にプロットがよく練られている点は評価すべきだ。闇というストーリーテラーが、面白い具合に物語を進めている。
 また、闇という座標軸の見えない空間において、それぞれの相関関係が静かに変動していく様は読んでいて愉快である。感想を書いていて、思わずネタばれしてしまいたくなった。

(読了 : 2005/06/24)






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