Last update 2006/02/05




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読書日記





た行



あなたに似た人 By ロアルド・ダール

 マイク家に招かれた自称美食家のリチャードはワインの銘柄と収穫年を当てるという賭を行った。リチャードはもし当てることができなければ2つの別荘を譲ると宣言し、もし当てることができればマイクの令嬢を嫁に欲しいと申し出た。マイクは絶対に当てられないという自信があり、リチャードの挑発を受けてその賭を承諾する。――『味』

 時代柄なのか賭けがお好きなようである。いくつかの短編で賭けがモチーフと去れていて、どれも最後に面白いオチがある。その他、印税目当てに機械で小説を書こうとする『偉大なる自動文章製造機』が好きだ。傑作短編集である。

(読了 : 2004/08/05)



粗忽拳銃 By 竹内真

 噺家の流々亭天馬、映画監督の時村、劇団員の広介、見習いライターの可奈は下北沢で飲んだくれ、粗大ゴミ置き場で拳銃を見つけた。天馬はモデルガンのつもりで引き金を引いたのだが、銃口から火が吹き、それが翌日には謎の発表事件としてテレビで報じられることになった。どんな経路で捨てられた銃か不明だが、本物の銃を撃ちたいという欲望から一人二発と勝手に決め込んで、天馬が銃を管理することになった。
 天馬は師匠の天光の芸をなぞっているばかりで、師匠は天馬を認めようとはしない。天馬は発砲事件をマクラとして面白おかしく披露し、入門以来封印していた得意の「粗忽長屋」を勉強会で演じた。天馬も、時村も、広介も、可奈も、あの発砲事件から変わりつつあった。しかし、天馬の勉強会のことがWebのガンマニアたちの話題に上り、ヤクザを交えた三つ巴の銃の争奪戦が始まる・・・。

 落語の薀蓄も絡めてユニークに仕上がっており、冒頭から凄まじい引力でストーリーに惹きつけられた。けれども、その引力が途中から拡散し始めるのが残念だ。冒頭に比べて、かなり荒くなっている。面白いのは確かなのだけれども、少しヒネリが足りないような印象を得た。

(読了 : 2005/01/02)



弓弦城殺人事件 By カーター・ディクスン

 レイル男爵家を継いだヘンリー・スタインは、新しいものを好まず、15世紀の弓弦城という古城を買い取って住んでいた。また、レイル卿は中世の武器や甲冑などを集めて鑑賞する趣味があった。そんな弓弦城でこのところ石弓の弦がなくなったり、籠手がなくなるという騒動が起きていた。そんな最中マイクル・テヤレインは弓弦城を訪れる。だが、彼が訪れた夜に事件は起きた。レイル卿が甲冑室で絞殺されて死んでいたのだ。部屋は密室状態。最後にそこ居合わせた娘のパトリシアに疑いの目が向けられる。時を同じくして女中のドリスの死体が発見された。彼女の首には籠手で絞められた痕があり、彼女はレイル卿の部屋にあったと思われる真珠が握られていた。

 どうも密室という状況がピンとこなかった。というか、屋敷の見取り図がないのがちょっとアンフェアな気がする。しかし、謎解きのプロセスに関してはスマートで好感を得た。シンプルなジョン・ゴーントが探偵役だったせいかもしれない。フェルやH・M卿だと個性に振り回されてこうはいかないと思う。

(読了 : 2004/08/16)



天使の背徳 By アンドリュー・テイラー

 ロンドンに程近いロス地区の教会の牧師をしているデイヴィッド・バイフィールドは、娘のローズマリーと二人で暮らしていた。教会の世話を焼くオードリーが『ロスの歴史』という本の出版を思い立ち、デイヴィッドに協力を求めたことから、デイヴィッドは出版社を営むヴァネッサと親密になり、結婚することになった。
 穏やかに始まった新生活だったが、デイヴィッドの周囲では少しずつ奇妙な出来事が起き始める。オードリーの飼い猫のピーター卿が惨殺されて遺骸が教会の扉に張り付けられ、旧領主亭のユールグリーヴ夫人が不審な死を遂げる。そんな中、デイヴィッドは近くに越してきたジョアンナ・クリフォードに惹かれつつあった・・・。

 3部作の2作目にあたるらしい。序文に「どういう順序で読んでもかまわない」とあったので読んでみたのだが、すごく後悔している。物語がスローテンポで進み、輪郭がなかなか見えてこない。それにミステリとしての見せ場が欠けている。連作としての繋ぎ目の要素が強いのではないだろうか?

(読了 : 2005/03/03)






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